【月に咲く花の如く】ネタバレ感想(65話・66話)。
呉家西院の呉沢は、憑りつかれたかのように変法運動に力を注ぎます。
見かねた父の蔚武が説教をするも、呉沢は聞く耳を持たず口論になるばかり。
一方で周瑩は、思わぬ場所で星移と再会しますが……!?
【月に咲く花の如く】ネタバレ65話
変法とは?
変法運動とは。
一言でいうと政治改革のことで、これは当時の中国で実際に起きたこと。
目的は、自国強化および立憲君主制(1人の君主が国を治める)の確立。
日本を模範している。
当時の皇帝が主導し、政治家たちと共に“変法”を成しとげようとするも、反対派の西太后によって阻止されることとなる。
街で役人たちが「変法を開始せよ」と触れ歩く中、立派な輿からひとりの役人がおりてきました。
それは、呉家西院の呉沢でした。
彼はだいぶ前に試験に合格して役人となりましたが、今や四品の欽差大臣にまで登りつめ、こたびは変法を監督するために涇陽に戻ってきたのです。
帰宅した呉沢はみんなの前で変法について語りますが、父親の蔚武は途中で離席。
どうやら蔚武は、呉沢の帰省を喜びならがも、高官だからと礼儀を欠く呉沢を見て思うところがあるようです。
周瑩は話に食いつき「変法では、民が工場を作ることを推奨しているとか」と興味津々。
呉沢は、「まさしく」と答えました。
本当の本当の真実が判明
工場を建設すると決意した周瑩は、ジョゼフの教会に行き、西洋の工場の写真を見せてもらうことに。
話は次第に呉聘のこととなり、ジョゼフは「昔 渡したあの薬は、ご主人(呉聘)に効いたかね?」と尋ねます。
「薬は効いたけれど、彼は毒殺されてしまったの……」
周瑩は、呉聘がヒ素を盛られて殺されてしまったこと、死の間際に鼻や目から出血したことをジョゼフに話します。
すると、ジョゼフは驚きの言葉を口にするのです。
「ヒ素で亡くなる場合、鼻や目から出血はしない」と。
以前に詠梅が自白したとき、「ナツメ餅にヒ素を盛ったの」と言っていました。
しかし、ヒ素が死因でなかったのなら、呉聘を殺した本当の犯人が別にいることになります。
それは誰なのか。
急いで帰宅した周瑩は、使用人の福来に“亡くなった日の呉聘の足取り”を詳しく聞きました。
福来は答えます。
亡くなる前に呉聘が会っていたのは、杜明礼だと。
愛よもう一度……
ある日周瑩は、懐先が3日も学堂をサボっていると知り、本人に理由を問い詰めました。
懐先が言うには、先生の時代遅れな講義には飽きたから、別の場所(正宜学堂)で講義を聞いていたとのこと。
そこで聞いた康先生の講義は、救国や変法の話がメインでとても面白かったため、これからは正宜学堂に通いたいと言う懐先。
周瑩が、懐先に連れられて正宜学堂へ行くと、ちょうど康先生が講義をしている声が聞こえてきました。
その声を聞いて周瑩は足を止めます。
姿を見て硬直します。
康先生として講義をしていたその人は、亡くなったはずの星移だったのです。
講義が終わってこちらに気づいた彼は登壇から降り、ただ無言で周瑩を見つめます。
周瑩はゆっくりと彼のほうへと近づいていき、星移の頬に手をあてて彼を見すえました。
そして、2人はきつく抱きしめ合います。
急ぎの用があるらしい星移は「一時後、川のほとりで」とだけ言い、去ってしまいました。
一時後。
周瑩が星移に連れていかれた場所には、なぜか数人の芸妓が……。
さらに、どういうつもりなのか星移は冷たい言葉を放ちつづけ周瑩を突き放そうとするのです。
そんな彼を諭すように、周瑩は静かに語りかけました。
「星移。私はずっと早く死ねるようにと天に祈ってたの。黄泉のあなたに会いたかったから」(※)
けれども、星移は冷たい態度を変えず、もうお前とは関わりたくないと口にするのです。
頭に血がのぼった周瑩は、ちゃぶ台を派手にひっくり返し「永遠に会わないほうが幸せだった」と言い捨てて、その場を去りました。
星移はしばらくの間、さきほどの周瑩の言葉(※)を思い返して考えにふけっていましたが、やがて外へ出ると、去ったはずの周瑩が待っていたのです。
彼女は星移の腕を取り「私を娶って」と言います。
星移が腕を振りほどくと、今度は両手を首に回されて顔を固定されたため、彼女から目をそらすことができません。
周瑩は、星移を見すえて想いを打ち明けました。
「今の私は寡婦ではなく、呉家の大当主でも富商でもない。
あなたを慕うただの女よ。星移。愛してる」
さらに、「2度と離れたくない。一緒になりましょう」という愛の言葉とともに彼を抱きしめます。
抱きしめられた星移は、一筋の涙を流しながら苦渋の表情で言いました。
「お前は生娘じゃないよな、寡婦だ。名家の令嬢でもない、俺にも選ぶ権利はある」
そう言われた周瑩は抱きしめていた星移から離れ、「何ですって?」と聞き返します。
「お前が沈家に来てすぐに兄は死に、お前が呉家に行ったら今度は呉家当主や呉聘が死んだ。今度はまた俺に憑りつくつもりか?」
「何が言いたいの」
「お前は疫病神だ。疫病神だよ、聞こえたか?」
星移の言葉にたえられなくなった周瑩は、大粒の涙を流しながら彼の胸を何度も何度もたたき、傷ついた表情で去っていきました。
彼女が見えなくなったあと、星移は力なく座り込み涙を流すのです。
【月に咲く花の如く】ネタバレ66話
死人の演説
郡王=元ベイレ。昇格して郡王となった。
郡王の配下……杜明礼、查坤、趙白石(不本意)
59話で重罪人として牢に入れられた星移は、郡王の計らいで釈放されましたが、その方法というのが、身代わりの死人を立てるというものでした。
つまり、星移は表向きは死亡したことになっているのです。
死人を立てたその後は、星移は日本で身を隠していました。
現在。
星移は、日本の教育や政治の良さを中国でも広めるため、街頭で毎日のように演説をしていました。(このような運動を変法運動といいます)
輿の中からその様子をみた杜明礼は苦い顔をし、その足で趙白石のもとへ行きました。
そして「周瑩が織布工場を建設するのを阻止してほしい」と頼む杜明礼。
織布局を運営している郡王にとって、涇陽に新しい織物工場ができることは利益の邪魔にしかならないからです。
趙白石は適当に返事をした後、周瑩のところへ行き「杜明礼が工場の建設を阻止しようとしているから気をつけるように」と伝えました。
呉沢の傾倒
変法に傾倒しているのは星移だけではありません。
呉家西院の息子・呉沢もまた、変法を成し遂げるために躍起になっていました。
“変法は皇帝の意向である”
その理由を盾に、呉沢は従わない者を次々と罷免し、結果を出せない者も処罰しようとする始末。
工場の建設が遅れている周瑩に対しても、国のためになる結果を出せていないことを咎め、10日以内に建設しなければ処罰すると言いだすのです。
見かねた父・蔚武は、呉沢の部屋を訪れて説教をしますが、呉沢はまったく聞き入れません。
口論をするうちに、蔚武は倒れてしまい……。
【月に咲く花の如く】感想65話
驚きの真相と、脚本の巧さ
何ということでしょう!
詠梅がナツメ餅に毒を盛ったことで呉聘が死亡したと思っていましが、またまた真相は違いました!
詠梅が盛ったのはヒ素なので、あんな亡くなり方(目や耳から出血)はしないとのこと。
だとすると、もう真犯人は杜明礼で間違いないでしょう。
つまり、呉聘はあの日、3人から毒を盛られていたことになります。
✓柳婉児に命じられた宝来からは、茶に毒を盛られた。
✓ナツメ餅には詠梅が盛ったヒ素が……。
✓杜明礼宅で、何かしらの毒を盛られる。
同じ日にトリプルで毒を盛られる呉聘が不憫すぎますが、同時に脚本のすごさを感じます。
というのも、もし初めから杜明礼が真犯人だと明かされていたなら、視聴者は杜明礼絡みのエピソードを見てもあまり同情しなかったはずです。
詠梅とのラブラインや、查坤との特別な関係も流し見したかもしれません。
そう考えると、杜明礼のエピソード⇒真犯人だったという順番で描かれていることはとても巧妙だと言えましょう。
生きていた星移
やはり、星移は生きていました!
亡くなったと思い込んでいた周瑩からすると、生きた星移の姿はどれほど嬉しかったことでしょう。
2人が言葉なく抱きしめあうシーンは、それぞれの想いが表情から滲みでていて胸を打ちました。
燃えるような愛というよりは、忘れえぬ愛。
ただ、星移はこの時から周瑩を突き放すと決めていたのか、彼は周瑩の目をほとんど見ていませんでした。
星移が今でも周瑩を愛しているのは明らかなのに、なぜ愛を拒んだのでしょう……。
一方の周瑩は、星移に拒まれてもなりふり構わず愛を伝えていたのが印象的でした。
きっと周瑩も、星移が本心から拒んでいるわけではないと分かっていたのではないでしょうか。
だから、嘘は言わせないとばかりに、強引かつ精いっぱい愛を伝えたのだと思います。
【月に咲く花の如く】感想66話
以下、結末に関する重要なネタバレを含んでいますので、未視聴の方はご注意ください。
星移と呉沢は、それぞれ変法に傾倒しすぎているように思えます。
もちろん、国を良くしたい&民を助けたいという思想は素晴らしいものですが、2人は変法以外のことがまるで目に入っていないようなので、どこか危うさを感じるのです。
星移は革命運動に命を懸ける勢いなので、周瑩を危険に巻き込まないために彼女の愛を拒んだのかもしれません。
史実では、変法運動は失敗に終わります。
そこから推測するに、星移には悲しい結末が待っている予感がしてなりません。
※次回67話・68話の感想はこちらになります。
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