【Zero/ゼロ】(2021)は、Netflixオリジナルのイタリア発スーパーヒーロードラマです。自分は”透明”な存在だと感じていた内気な青年が、本当に透明人間になる能力を得て、悪の蔓延る街を救うべく立ち上がる姿が描かれています。ここでは【Zero/ゼロ】のあらすじとキャスト情報や楽曲についてまとめました。
【Zero/ゼロ】あらすじ
物語の舞台は、イタリアの移民が多く暮らす街”バリオ”、日常的に放火や盗難などが頻発する治安の悪い地域。バリオに暮らすオマール(ジュゼッペ・デイヴ・セケ)は、漫画家を夢見ているセネガル系イタリア人2世の青年です。
しかし、オマールはそんなバリオの環境に慣れてしまい、志を高く保つことができないどころか、誇れることのない自分はまるで”透明人間のようだ”と感じていました。そんなある日、ひょんなことから本当に”透明人間になれる能力が開花した”オマール。
透明人間になれるという類まれな能力を得たオマールは、新たな仲間と共に これまで興味の持てなかった自身のルーツである”バリオ”という街を救うべく立ち上がる……!
【Zero/ゼロ】主要人物
オマール(ゼロ)役/ジュゼッペ・デイヴ・セケ
オマール(ゼロ)
ジュゼッペ・デイヴ・セケ
漫画家を目指しているセネガル系イタリア人2世の青年。控えめな性格で、心優しい人物です。
母は幼い頃に逮捕されており、現在は父と妹と暮らしています。ひょんなことから自分は透明人間になれることを知り、バリオを救うべく立ち上がりました。
ティエルノ役/アレックス・ヴァン・ダム
ティエルノ
アレックス・ヴァン・ダム
オマールとアワ(ヴィルジーニャ・ディオップ)の父。厳格な人物であり、オマールの口の聞き方や自身のルーツに誇りを持たない姿には非常に厳しい態度を見せます。
アワ役/ヴィルジーニャ・ディオップ
オマールの妹で、明るく活発な性格をした人気者です。バレーボールをしており、その実力はU-16地区大会に出場するほど。
突然視力に問題が起き始めましたが、それはオマールが透明になる力を使うことと関係しているようです。
アンナ役/ベアトリーチェ・グランノ
アンナ
ベアトリーチェ・グランノ
シレネッタ不動産を営むリッチの娘で、オマールのガールフレンド。活発な性格で、いつも周囲を明るくさせます。
大学で建築について学んでおり、夢は建築士になることです。
シャリフ役/アルーン・フォール
シャリフ
アルーン・フォール
バリオに住む青年で兄と母と暮らしており、いつもサラ(ダニエラ・スカットリン)とモモ(ディラン・マーゴン)とインノ(マディオル・フォール)と共にいます。
非常に家族と仲間思いで、家出したゼロ(オマール)を自分の家に住まわせてあげました。大切な家族や仲間のことになると自制が効かず、手段を選ばずに危険を犯すことも。
サラ役/ダニエラ・スカットリン
バリオに住んでいる音楽プロデューサーで、シャリフの仲間の1人。同じ里親の元で育ったモモを弟のように思っています。
気が強く、男性相手でも容赦のない凛とした強さを持つ人物です。自身のスタジオを所有しており、ミラノのラップシーンを牽引しています。
モモ役/ディラン・マーゴン
バリオに住むシャリフの仲間の1人で、サラの弟分。サラとは同じ里親の元で育ちました。
普段はお調子者ですが、いざとなったら頼りになる存在です。
インノ役/マディオル・フォール
インノ
マディオル・フォール
バリオに住むシェリフの仲間の1人。歌手を目指しながらも、プロのサッカー選手でもあります。
イタリアの市民権を取るため悪戦苦闘しています。
【Zero/ゼロ】その他の登場人物
【Zero/ゼロ】プチ情報
原作は小説、バリオは架空の街
【Zero/ゼロ】(2021)は、アントニオ・ディケーレ・ディステファノの小説”Non ho mai avuto la mia età”を原作としています。
物語の舞台となるバリオは架空の街ですが、実際に撮影された街はイタリアのミラノ市にある国境地帯のバローナです。バローナはミラノにある9つの行政区のうちのゾーン6に属しており、主に住宅地で構成されています。
楽曲
【Zero/ゼロ】(2021)では、イタリアの有名なラッパーMarracash(マラカッシュ)の楽曲”64 barre di Paura”が使用されています。この曲はレッドブルのヒップホップ映像シリーズ”64Bars”と【Zero/ゼロ】(2021)のコラボ楽曲であり、”64Bars”にて限定公開されています。
他にもMahmood(マムッド)や、Bonnie Banane(ボニー・バナン)など数々のイタリアのラッパーやミュージシャンが起用されました。ちなみに、Mahmood(マムッド)は【Zero/ゼロ】(2021)の音楽監修も担当しており、選曲の全てを担っています。
オマール役ジュゼッペ・デイヴ・セケとMarracashの出会い
主人公オマール(ゼロ)を演じたジュゼッペ・デイヴ・セケは、これまでラッパーとして活動していましたが、【Zero/ゼロ】(2021)にて俳優デビューを果たします。イタリアで2010年代に最も売れたラッパーのMarracash(マラカッシュ)のファンの1人でした。
そんな彼は【Zero/ゼロ】(2021)を通して憧れのMarracash(マラカッシュ)と対面を果たし、互いの置かれた複雑な環境について話し合いました。
最初こそ憧れの人との対面に緊張していたジュゼッペ・デイヴ・セケでしたが、Marracash(マラカッシュ)の飾らない素朴な一面に親しみを感じ、より彼に対する尊敬を高めたと語っています。
【Zero/ゼロ】解説
移民に関する繋がり
【Zero/ゼロ】(2021)では、バリオという架空の街で移民が迫害されながら生きている様子が描かれていますが、実際にメインキャストを演じるイタリアの若手俳優たちも移民1世や2世という繋がりがあります。
主人公のオマール(ゼロ)を筆頭に、妹のアワやガールフレンドのアンナ、オマール(ゼロ)の新たな友人シェリフたちを演じる若手俳優らは移民1世や2世です。そのため、本作で描かれている移民に対する人種差別というのは彼らにとって他人事ではなく当事者であり、まさにリアルなイタリアの移民に対する人種差別が描かれているのです。
事実、オマール(ゼロ)役のジュゼッペ・デイヴ・セケはイタリアが抱えるこの問題を伝えるべく、絶対にこの役をやりたいと思っていたと語っています。このように【Zero/ゼロ】(2021)の背景を知ると、オマール(ゼロ)たちがバリオを守ろうとする行動への受け止め方も変わってくるでしょう。
イタリアの移民に対する人種差別の背景
イタリアの移民に対する人種差別には、イタリアの抱える移民問題が背景にあります。イタリアはEU加盟国の中でも移民(難民)の受け入れに寛容な国であり、2019年に発表されたイタリアに住む移民の人数は600万人。
イタリアの人口は約6000万人なので、イタリアの10人に1人が移民である計算となります。
移民に対する費用は全て国からの税金で賄われているうえ、移民による治安の悪化が起きています。もちろん移民の全てが犯罪を犯しているわけではありませんが、定職に就けず盗難などの犯罪に手を染めてしまう人々がいるのも事実です。
このように増え続ける移民がイタリアの経済を圧迫し、治安を悪化させていることから、イタリアの移民に対する人種差別を生んでいると言えるでしょう。
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